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Lee-Byung-hun addicted

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第5話

Cupido×Cupido(5)


彰介とは映画館の入り口で待ち合わせていた。
「昼間だから大騒ぎにならないかな」
心配する揺を尻目にビョンホンはキャップを目深にかぶりメガネをかけて何食わぬ顔で車から降りた。
「普通にしていれば大丈夫だよ」
(・・・その自信は何故?)揺は不安だったがいざとなったらこの前のホテルのように走ることを覚悟した。そして軽く屈伸運動。
「何やってるの」とビョンホン。
「いや、ウォーミングアップ」
彼が大笑いしたのは言うまでもない。

映画館は平日にもかかわらずそれなりににぎわっていた。
彰介は駐車場から上がってきた二人の姿を見つけると走り寄ってきた。
「お~~ヒョン。元気だった?」
「うん、お前も相変わらずだな。」
「ちょっと太ったんじゃない?」
「まあね。ここんとこすごい食べてるからね。いろいろ。」
そういうとビョンホンは揺をちょっと見てニヤッと笑った。
「何だか焼けちゃうなぁ~」
「あっ、揺いたの?全然気がつかなかった」彰介は笑いながら意地悪く言った。
「知ってて無視してたくせに。本当に彰介はうちのダーリンが大好きなのね。」
揺は負けじと意地悪そうに言ってビョンホンの腕にしがみついた。
「何かすっげ~悔しい」揺を睨みつける彰介。
「お前ら、俺で遊ぶなよ~」間に挟まれたビョンホンは笑いながらそういった。
「ほら、もう時間だ。映画始まっちゃうよ」
三人は笑いながら会場に急いだ。


「面白かったね。結構リアルだったし」
揺のかかわった映画が上映されるまでの小一時間、三人はラーメン屋でラーメンをすすっていた。この三人、映画の話をしだすととめどなく会話が続く。
この日もさっき見た映画や最近観た映画の話を英語とハングルと日本語混ぜ混ぜの状態で熱く語り合っていた。
「でも、彰介さあ、仕事忙しくないの?こんなところで遊んでていいわけ?」揺はスープをすすりながら意地悪そうに尋ねた。
「今日は立派な仕事だよ。マーケティングだよ。マーケティング。」
「やっぱり、忙しいか・・。今度映画の撮影に入るまでにチェジュドでスタッフみんなとゴルフしようと思っててさぁ~。彰を誘おうと思っていたんだけど・・やっぱ難しいかぁ~」残念そうに言うビョンホンに彰介は飛びつくように言った。
「行くよ。行く。予定空けるから。でいつ?」嬉しそうな彰介。
「今月24・25日」
「了解了解。ノープロブレム」
「ビョンホンssi、私誘われてないんだけど」と不機嫌そうな揺。
「だって、誘ってないもん。」
「!!!」
「今回は男友達の会だから女性はお誘いしません。」ビョンホンはしらっと言った。
「つまんない」明らかに不機嫌な揺。
「いいじゃん、たまには。今度は女友達の会っていうの企画するからさ」
「何かその会、もっと微妙じゃない。もういいよ。勝手にすれば」
揺はスープを飲み干すとドンッと勢いよく丼を置いた。
「トイレ行ってくる」揺はそう言い放つと店を後にした。
「ヒョン、いいのか・・。揺怒ってたぜ。」
「ああ、大丈夫。ほらたまには刺激がないと。」
ビョンホンは笑いながら水を一口飲んだ。

時間になり三人はスクリーンに向かった。
さっきの気まずい雰囲気を引きずったままビョンホンを真ん中に挟んで三人は席についた。
彰介はいつものふたりらしからぬ様子を見て内心ひやひやしていた。
(大丈夫なのか・・このふたり。)
ビョンホンと揺はむっとした表情でお互いにスクリーンを見つめていた。

「いい映画じゃん。何か俺、感動しちゃったよ。」彰介は何気に涙ぐんでいた。
「そう。うれしいねぇ~。ありがと。」揺は嬉しそうに言った。
「ヒョンは?どうだった?」珍しく黙っているビョンホンに向かって彰介は場を繕うように尋ねた。
「うん。映画は最高に良かったね。面白かったし、感動的だったよ。」
「『映画は』って何?何か気になる言い回し。」
「だって、いつまでも揺がふてくされてるから何だか気になって感動が半減した。」
「じゃあ、何私の責任なわけだ。」
「じゃあ、俺の責任なのか?」
「じゃあ、誰の責任だって言うのよ」揺はそういうとビョンホンの横に立って怯えている彰介をにらみつけた。
「彰介が一緒に映画観ようなんていうからこんなことになるんじゃない」
「彰介は悪くないだろう。何でそうやって人のせいにするかな。」ビョンホンは明らかにむっとして言った。
「わかりました。心の狭い私が悪うございました。じゃ、お先に邪魔者は帰らせていただきます。」
そう言い放つと揺はさっさと帰ってしまった。
「いいのかよ~。ヒョン。」不安がる彰介。
「いいよ。放っておいて。彰、下落合まで送ってよ。荷物があるから帰らないわけにいかないや」そういうとビョンホンは足早に歩き始めた。
「ヒョン。揺もゴルフ呼んでやったら。」ハンドルを握りながら心配そうに言う彰介。
「いいよ、呼ばなくて。だっていつも一緒なんて気詰まりじゃないか。たまには怖いかみさん抜きの息抜きも必要だから付き合えよ。」
いつもの様子と違うビョンホンに戸惑いを隠せない彰介だった。
「俺がこんなこというのもなんだけど、ヒョン謝ったら。」
「心配すんな。なるようにしかならないから。じゃ、また連絡するよ。」
ビョンホンは明るく言うと車のドアを勢いよく閉めた。


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